なりすましや偽サイトへの対応では、サイトの停止、検索結果での非表示、広告の停止、捜査は、それぞれ目的が異なります。そのため、まず証拠と被害の状況を整理し、必要な依頼を並行して進めます。この記事では、偽サイトの区別、保存する証拠、停止依頼先の選び方、相談機関と専門家の使い分け、依頼文の内容、停止後の確認と再発防止、外部へ依頼する際の比較ポイントを整理します。
偽サイトは、実態に応じて、偽のECサイト、企業になりすましたサイト、フィッシングサイトに区別します。偽のECサイトは、商品画像や会社情報を盗用して、商品を販売するように見せるものです。フィッシングサイトは、ログインのための認証情報や、決済情報を盗み取ることを目的とします。
独立したドメインのサイトと、ECサイト内の出品、SNS上の広告は、対応の窓口が異なります。ECサイト内の出品やSNS広告は、各サービスの申告の窓口へ進みます。同じ削除の窓口が、すべての対象を扱うとは限りません。
顧客の被害や、顧客からの問い合わせがあった場合は、社内で緊急に共有します。知財、法務、情報システム、広報、顧客対応の担当者と、承認者を、あらかじめ決めておきます。担当が決まっていないと、顧客への回答が遅れたり、内容が部門ごとに異なったりするおそれがあります。
偽サイトは、URL、確認した日時、画面、会社の表示を記録します。商品、決済画面への誘導、問い合わせ先、正規サイトとの差異も、保存します。偽サイトの確認は、安全な環境で行い、送金や個人情報の入力はしないようにします。
削除の依頼の前に、商標、画像、文章の権利と、申立ての資格を整理します。商標の登録証、原著作物、代理人の場合の委任状、自社の正規のURL、顧客からの報告をそろえます。偽サイトが使っている画像や文章が、自社のものであることを示せると、依頼の根拠が明確になります。
ホスティング事業者やドメインの管理先は、RDAPやWHOISなどの公開情報で、窓口を確認します。ただし、登録者の情報が非公開の場合や、CDNを利用している場合があります。技術的な所在と、サイトを運営している者の特定は、別の問題であり、混同しないようにします。
ホスティング事業者には、サイトやコンテンツの停止を依頼します。一般に、事業者は不正な利用を報告する窓口を設けているため、そこへ、URL、問題の箇所、権利や詐欺を示す資料、連絡先を提出します。停止できるかどうかは、事業者の規約や、適用される法制度によって異なります。
ドメインの悪用は、レジストラなどに報告します。レジストラは、ドメインの登録を管理する立場で、ホスティング事業者とは役割が異なります。対応できる範囲は、事業者の規約や、ドメインの種類によって異なります。ドメインの停止や移転が、常に受理されるわけではなく、サイトの本文を、レジストラが直接削除できるわけでもありません。
検索エンジンには、適用される削除や、安全性の報告の仕組みを使います。検索結果での非表示と、サイト自体の削除は別の対応です。自社のSearch Consoleの削除ツールは、自分のサイトのページが対象で、第三者のサイトを消すためには使えません。Googleのヘルプでも、自分で所有していないページは、別の案内を参照するとされています。
偽サイトに誘導する広告、SNS、決済先にも、必要に応じて連絡します。広告の停止、アカウントの報告、決済の対応は、それぞれ目的が異なります。何が停止され、何が残っているかを、別々に管理します。
フィッシングの被害は、JPCERT/CCなどへの報告や、対応の依頼を検討します。JPCERT/CCは、インシデントの報告を受けて、国内外の関連するサイトとの調整を行う機関で、サイトの停止に向けた調整の支援にあたります。
犯罪の被害や、金銭の被害がある場合は、警察などへの相談も、並行して進めます。捜査の相談と、サイトの停止依頼は、目的が異なるため、分けて考えます。購入者が金銭を支払ってしまった場合の返金については、取引先や金融機関などの適切な窓口を案内します。
権利の判断、警告、紛争の対応は、弁護士などの専門家に相談します。相談の際は、支援の範囲、対象の国、相手方の特定の可否、必要な証拠を確認します。偽サイトの運営者が海外にいる場合や、特定できない場合は、手段が限られることがあります。
削除や停止の依頼文には、対象のURL、侵害の箇所、正規の情報、求める措置を明記します。次のような項目をひな形として整理しておくと、窓口ごとに使い回しやすくなります。
依頼後は、受付番号、返答、停止の状況を、窓口ごとに管理します。未回答、不備、対象外を分けて記録し、追加の資料の提出、窓口の再確認、専門家への相談につなげます。処理にかかる期間や、サイトの完全な削除は、保証されません。
停止の後は、サイト、検索結果、広告の状況を、個別に再確認します。サイトが停止されても、別のURLや、ミラーサイト、類似のドメインが残っている場合があります。検索結果に、停止前の情報が残っている場合も、別に確認します。
顧客に対しては、正規のURL、販売先、問い合わせ先を知らせます。公式の発表の例文を用意しておくと、必要な場合にすぐに公開できます。ただし、まだ確定していない侵害者の名前や、危険なURLをそのまま広めると、誤りの拡散や、被害の拡大につながるおそれがあります。確認できた事実に限って伝えます。
再発を防ぐために、ブランド名、類似のドメイン、画像の監視と、初動のルールを整えます。監視の頻度、判定する担当者、連絡先、証拠の保存、外部への相談を、決めておきます。自社のサイトが改ざんされる場合とは、対応が異なるため、別に整理します。
偽サイトへの対応を外部へ依頼する場合は、対応の範囲を比較します。監視のみを行うのか、停止の依頼を支援するのか、法的な対応まで含むのかによって、内容も費用も異なります。比較の際は、対象の国、報告の内容、顧客からの確認への対応、追加の費用を、同じ条件で確認します。模倣品の販売に関連するWebの侵害については、調査や対応を支援するサービスがあります。一方で、フィッシングや、すべてのドメイン紛争に対応できるサービスとは限らないため、対応できる範囲を、事前に確認する必要があります。
検索から消えただけでは、対応が完了したとは限りません。検索結果での非表示と、サイト自体の削除は、別の対応です。サイトが残っていれば、広告やSNS、直接のURLから、アクセスされるおそれがあります。サイトの停止、広告やアカウントの状況も、あわせて確認します。
海外のサーバーにあるサイトでも、依頼できる場合があります。ホスティング事業者やレジストラの窓口は、海外の事業者でも、不正な利用の報告を受け付けていることがあります。ただし、規約や適用される法制度が異なるため、停止できるかどうかは、事業者や国によって異なります。言語や必要な資料も確認し、必要に応じて、現地に詳しい専門家に相談します。
なりすましを完全に防ぐことは、難しいとされています。停止後に、別のドメインやURLで、同様のサイトが作られることがあるためです。そのため、ブランド名、類似ドメイン、画像の監視と、初動のルールを整え、早く発見して対応できる体制を作ります。対策は、発生を減らし、被害を抑えるものとして、継続して見直します。
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※1 参照元:サカタブランドソリューションズ公式HPより、2026年5月調査時点
※2 削除申告は海外のみ対応しています。日本では法律で規制されているため、自社の顧問弁護士を介してご対応ください。
※3 参照元:IP FORWARD公式HP(https://www.ip-fw.com/1870898)